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悪徳旅行会社のお雇いドライバーサミュエルはたいへん優秀で、

こちらが言わなくても、いろんなところに連れていってくれる。

宝石屋とか、

シルクショップとか、

高級レストランとか、

とても親切に連れまわ・・

もとい、連れていってくれる。






ジャイプールでのある日、

急に車が横道に入った。

もちろん、サミュエルが運転する、

俺とKを乗せた車が、である。

どこへ向かうのかと思っていたら

案の定宝石屋だった。

本日二軒目である。






俺もKも、

彼の親切にはもううんざり・・

じゃなくて感謝の念でいっぱいだったのだが、

いかんせん金がない。

店のドアの前で採決を取った。








「もういいよね。」

「うん、もういい。」

「買わないしね、どうせ。」










満場一致だった。

俺達は遠慮がちに、最大限気を使って説明した。

俺達は学生で、

金もないし、

宝石に興味はない。

必要もない。No need だ

と。





それを聞いたサミュエルの表情を、一言で表すならこうだろう。

























「ちぇ」
















ものすごいしぶい顔をして、

首というよりあごを横に振りながら

(インド人特有のしぐさだ。YESの意)

彼はぶっきらぼうに車に乗り込んだ。

今にも小声で「くそ」と言う声が

聞こえてきそうだった。







彼が落ち込んだ、

というより怒ったのには理由がある。

こういったツアーの場合、訪問予定の

お土産やさんには先に話しがしてある

のが普通だ。何日の何時ごろ日本人を

二人連れて行くからよろしくね、という具合に、

セッティングしておくのだ。

インドでそこまで細かい打ち合わせ

をしているかどうかは知らないが、

少なくとも行き付けの土産屋ぐらいは

あるに違いない。

そしてそこでは、

観光客を連れて行くツアー会社と、

連れてきてもらう土産屋との間に、

ある契約が結ばれる。(たぶん)




「土産屋はその観光客から出た売上げ金の何割かをツアー会社側に払う」




いわゆるマージン/marginというやつだ。

上の例で言えば、

もしそこで俺かKが買い物をすれば、

その支払い金額(土産屋から見た売上げ金額)

のいくらかは、サミュエルの手に渡る

というわけだ。

だから彼は

俺達をいろんな土産屋に連れて行きたがるし、

それらは全て観光客向けの高級店だ。







しかしこちらからしてみれば、

買い物なんてどうでもいいし、

何より、訳も分からず知らない

場所に連れて行かれるのは

いい気分ではない。







やはり俺にとってサミュエルは、

憎むべき宿敵ショッカーの一人でしかないのか。






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