Study5 in Philippine
+-- カプニタン村 --+

サバタン村を出て次の目的地に向かう。バスはまた1時間程走りバターン州オリオン町カプニタン村に到着した。一行はこの村で二泊のホームステイをする。

バスを降りとりあえず村のリーダーさんの家まで歩く。すでに日は沈んで真っ暗で村の様子がいまいち見えなかった。一日か二日前に降ったらしい雨で地面がところどころ泥状態だったのを覚えている。

10人ほどの日本人団体客を最初に迎えてくれたのはここでもその倍ぐらいの子ども達だった。満面の笑みで口々に
「What’s your name!?」
と話し掛けてくれる彼らを見てすごく嬉しくて、こっちも笑顔になった。

カプニタン村は毎年このツアーのホームステイを受け入れているので、村の人たちはもう慣れたものである。子どもたちは年に一度のこのイベントを楽しみにしている風だ。

二人一組で一つの家にステイする。俺のパートナーはミヤキさんというお兄さん。俺たちが泊まらせてもらう家は、太ったお母さんとやせのお父さんと、そして子どもが

子どもが・・・

10人!?

家の中がすごい騒ぎになっている。大家族であるチビたちは中でもカメラに大喜び。
「Picture!」
と言っては撮ってとねだる。で、次に自分でボタンを押したくなり、しまいにはカメラの取り合いを始めるから、こっちは落としはしないかと気が気じゃない。なんとか理由をつけて奪還。うかつに見せびらかすのはやめよう。

最初ちょっと驚いたのがトイレである。もちろんトイレットペーパーなどというものはない。手で拭くのである。便器は一応あるがふたはない。また、水洗だが手作業である。横に置いてあるでっかいバケツから小さめの水汲みで水を汲んで便器に流し込む。そしてこのバケツと水汲みは同時に風呂用でもある。湯船はもちろんなくバケツの水をシャワー代わりにかけて流す。トイレを流すのと同じ水と水汲みを使って身体を洗うわけだ。

考えてみれば、別に不潔ではない。バケツや水汲みが汚物に直接触れるわけではないからだ。



でもちょっと最初は抵抗あったよ、正直。だってすぐ目の前には置いてあるんだもん、便器。すぐ慣れたけど。っていうか、使わざるを得ないからね。

そんな感じのカプニタン村。明日は早い。いっしょに漁に出るのだ。朝3時起きである。今日は早く寝よう。じゃ、おやすみ〜

子どもが4人になってる?

聞くと実は、あのチビたちのほとんどは他の家の子だったのだ。みんな遊びに来ていただけ。なのに、そうと全く気づかせないくらいとけこんで、なじんでいた。文字通り、家族のように仲がいい。村全体が開放的で、子どもが元気。笑顔が尽きない。

貧しさは確かにある。だけど寂しさはない。
どうやらここは、そういう場所のようだった。



チビたち。